カリモク60「Kチェア2シーター」との思い出

ソファ探しでインテリアショップ巡りをしていると、度々カリモク60の製品に出会います。カリモク60と言えば、Kチェア。ドラマなんかでもたびたに使われるジャパンメイドミッドセンチュリー家具のド定番です。

わが夫婦は、Kチェアを使用している時期がありました。それはまだ結 婚する前。夫の一人暮らしの部屋にありました。

夫は、学生時代からインテリアや建築が大好きで、建て壊し予定のオンボロ長屋を借りて、自分で内装を改築して住んでいたほど。改築と言ってもどうしてもレトロになってしまうので、その味を生かしつつのインテリアとなると、必然的にKチェアが選ばれます。今となってはお手ごろ価格に感じるKチェアですが、学生だった当時は一大決心。1ヶ月間カール(スナック菓子)ばっかり食べておなかを膨らませ、浮かせた食費で買った覚えがあります。

座り心地がよかったのと、生活がぐうたらだったのとで、しょっちゅうKチェアの上で寝てしまっていました。恐らくKチェアが来てからは、ベッドの上よりKチェアの上での睡眠時間の方が長かったはず。

そのKチェア、初めて見た妻の第一印象は「おじさんくさい」でした。…まあ、それは確かにそう。

そしてその第一印象を拭い去ることができず、結婚して新居に引っ越す際に、新しいソファと入れ替わる形でKチェアは処分されることになります。何とか手元に置けないかと考えてはみたものの、新居に保管しておくスペースがあるわけもなく…ネットの「譲ります」に出品されることになりました。

すると、当時品薄だったこともあり、引く手あまた。中には買いますという人もいて、結局、購入価格より高い値段で買い取り手が決まりました。

最高価格を提示した人に決めたのは、儲けたいからというより大事にしてくれそうだから。実際の取引価格は購入価格同額まで下げ、さらに送料はこちらで負担することにして送り出しました。

…あいつ、今頃どこで何してるのかなあ。

家具屋でカリモク60の製品を見るたび、思い出します。そして、思い入れのある家具は倉庫に預けてでも手元に置いておくべきだなと今になっては思います。なので、封印しているNoguchi Coffee Table(ノグチコーヒーテーブル)も子供が大きくなるまでは封印し続けますし、どんどん増殖するイームズのサイドシェルチェアDSRも、いくら増えても処分しないようにしようと思います。

そして、子供とか孫とかに譲れたら最高。そうなると、時代に左右されないパーマネントな名作がいいんだよな、やっぱり…。さて、今度の新居のソファどうしよう。